こんにちは。
グローバル留学センターの橋本です。

弊社では毎年多くの永住権を目指した留学についての相談を受けています。
カナダは他の訪米諸国に比べると永住権が取りやすいですし、今はさらに永住権取得資格のポイントが下がっているようです。その為、以前よりも永住権を見据えた問い合わせが増えています。
留学、ワーキングホリデーでのカナダ生活を通してカナダが好きになって、カナダに移住したいと思われた方がほとんどですが、カナダに移住してずっと暮らしていくことは、ワーキングホリデーや留学で暮らしていた時よりも非常に大変と言う現実が有ります。 永住権取得がゴールの方が多いですが、実は永住権取得よりも永住権取得後の生活の方が大変だと思うのでその事について少し書きたいと思います。

大変な理由を最初からズバリ言うと、カナダで生活して行く中で多くの方が苦労するのがお金です。
生活スタイルは人様々なので一概には言えないですが、物価の高いカナダで生活して行く為には、現実的に日本で暮らすよりもお金が必要です。
若いうちは学生やワーキングホリデーの頃のようにシェアハウスやシェアアパートで暮らしていけると思いますが、カナダ永住取得後、歳が30代後半、40代になってからも、学生達と大勢のシェアハウスや、ベースメントの部屋で仮住まい的な生活をずっとしていくのは正直しんどいと思います。想像して頂くと分かると思うのですが、日本で40代になってから、若い学生達と学生寮生活は大変ですよね?

バンクーバーで1人暮らしをして、老後の貯蓄をして、たまに外食したり、ショッピングをしたり、旅行に行ったりして暮らして行くには、私の体感ですが5000ドルぐらいの月収は最低限必要だと思います。同年代(30代半ば)のカナダ人の友人に聞いたところ、友人達も比較的Comfortableな生活をするには最低$5000は必要だよね〜っとみんな言います。
そしてカナダ人の同年代の友人たちはそれ収入以上を得ています。

5000ドルの給料を受け取った場合、所得税やその他諸々引かれて約3900ドルほどしか残りません。
(カナダの税務署の給料計算システムで計算した結果が下記の写真です。)

バンクーバーの家賃がだいたい1ベッドルームで1800-2500ドルほどなので、家賃で半分ぐらい持って行かれます。 外食するのも高いですし、家なんて億を超える値段で買えるレベルじゃないですし、アパートでも日本の一般的な一軒家よりも高いです。

更新)2023年1月のバンクーバーの1ベッドルームの家賃の中央値は$2500となります。金利の上昇により家賃が非常に上がっています。

一度カナダで暮らした事がある方なら、どれぐらい物価が高いか分かるかと思います。

独身の男性がバンクーバー(ダウンタウン)で1人暮らしをする為には大体下記ぐらいの生活費が掛かります。

家賃(1ベッドルームアパートの家賃):約$1800(毎年上がっていきます。) ※コンドミニアムなら$2000以上
食費(自炊の場合):約$400
携帯電話:約$50
電気代:約$35
インターネット代金:約$90
その他(外食、ショッピング等):約$500

更新※2022年9月現在さらに物価はどんどん上がっています。
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合計:約$2675

その他参考サイト:https://www.numbeo.com/cost-of-living/in/Vancouver
上記以外に、Netflixやジムに申し込んだり、日本に帰国したり、旅行に出かけたりするともっとお金が掛かります。車を買ったりすると更に固定費が掛かります。
老後の為の貯蓄もしていかないといけません。

月給$5000→諸々引かれて手取り約$3900
最低限の生活費約$2675
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残り$1225

一見結構残ると思われるかも知れないですが、この物価の高い国で生きていくには日本以上に老後の貯蓄が必要となります。日本で老後2000万円問題が一時話題になりましたが、カナダは2000万円どころの問題じゃないと言われています。
CIBCの2018年の調査によるとミレニアム世代が老後に必要な資金は$756000(1ドル90円計算:6800万円相当)と言われているので残ったお金は出来る限り老後の資金を投資して複利で回していかないといけません。

カナダ政府主体で運営する年金制度は「OAS」「CPP」の2つに分けられるそうです。
2020年の4月の時点でどれぐらい貰えるかと言うと、OASは満額で$613(カナダに40年以上住んだ場合)、CPPは満額で$1175(これまでの所得により変わります。)が平均的に$672と言われています。
仮にOASを満額、CPPを平均値で貰えるとすると約1300ほど年金で貰える事になります。
1ベッドルームの家賃すら払う事が出来ないのです。
その為、個人個人が老後の為にRRSP( Registered Retirement Savings Plan)のアカウントを作り、投資信託で老後のお金を貯めてる行くのが一般的です。
毎月残ったお金をどんどん投資信託などに投資をして行く必要があるのですが、収入がある程度ないと投資する余裕すらないです。
カナダに根っこを張ってずっと暮らして行くには、ワーキングホリデーや留学の時の様にカフェやレストランでアルバイトして暮らしている時と状況が異なり甘くはありません。
結婚して配偶者が稼いでくれるなら最低賃金で働いていても良いですが、1人の場合は現実的に稼がないと暮らして行けないのです。

IT、調理、美容師などの手に職がある人は永住権取得後も並に稼いで食っていけると思いますが、普通のサラリーマンで手に職がない人は結構大変だと思います。
カナダでは2つの仕事を掛け持ちする方も多く、朝はレストランで夜も別のレストランで働いている方もいます。
永住権を取った後に生活保護を受けている日本人の方は多いですし、頑張って永住権をとってもカナダで生活して行けず日本に帰国して行く方も多いです。女性の方はカナダ人と結婚してカナダにずっと残る人も多いですが、日本人同士の夫婦の場合は子供が出来たタイミングなどで帰国する人も私の周りにたくさんいます。みんな口を揃えて言うのが金銭的にカナダでずっと暮らして行けないとの事です。子育てが始まると、子供の面倒を助けてくれる家族がいないので共働きが出来ないので、政府からの子育ての補助があったとしても収入は厳しくなります。
カナダには強制力は無いもののNational Occupancy Standard (NOS)では、5歳以上の男女の子供はベッドルームを一緒にしてはいけないというルールが有ります。永住権を取る事よりも永住権を取った後からの方が個人的にはすごく大変だと思います。そうなると最低2ベッドルーム、または3ベッドルームが必要になります。バンクーバーで普通レベルの2ベッドルームの家に住むなら最低$2500の家賃はします。家族4人で親に会うためなどで日本に一時帰国すると、航空券、日本での買い物、食事、旅行などで場合によっては100万円ぐらい掛かります。私の子持ちの友人は帰る度に頭を抱えています。
私もカナダにもう13年ほど暮らして居ますが、実際にカナダで生きていく大変さをひしひしと感じています。

カナダの暮らしは日本よりも良い的な事を書いているブログも多々有りますが、そのブログの書いている多くが女性でカナダ人の旦那さんにおんぶに抱っこだったりするのですよね。男性の場合は現実はもっと厳しいです。
また留学生やワーホリの方がインスタや Facebookであげるキラキラして生活は、一時滞在的な旅行者感覚で良いところだけを切り取った物だったりもします。
カナダで生活して行くのも、日本で生活して行くのも実は環境が違うだけで同じぐらい困難が有るのです。
私の知り合いでカナダの映画関係の企業で働いていて、すごく良い給料をもらっている方がいるのですが、
その方は、経験ゼロからではなく、もともと日本でも凄く優秀でスキルがあり、もともと優秀だった方がカナダに環境を変えただけで、日本にいても成功していた人でした。言い方は悪いですが、日本でフラフラしていた方が、カナダに環境を変えたらからと一発逆転人生が変わるほど甘くなく、むしろ移民で英語力もままならないので、多くの方が日本に出稼ぎにくる東南アジアからの人みたいに苦労をすると思います。

技術や誇れる特別なキャリアや学歴が有る方は別ですが(場合によっては日本の倍以上稼げます。)、多くの方が日本での学歴や職歴がリセットされると思われた方が良いと思います。手に職がないけど将来カナダで暮らして行きたい方は、遠回りになるかも知れないですが、しっかり英語力を身に付けて、カナダのカレッジなどでカナダの学歴や職歴、スキルなど付ける事をお勧めします。

最初に自己投資(お金や時間)が発生しますが、永住権を取ってカナダで長く暮らして行くのであれば、その方が後々暮らしが豊かになると思います。
留学会社だから、学校に長く行ってもらいたいからその様に行っているだけと思われるかも知れませんが、全然その様な思惑はなく、本当にしっかり英語力を付けてカナダのカレッジ等で手に職を付けられた方がカナダで苦労をしないと思います。
そしてカナダの企業に勤める事が収入を上げるポイントです。
基本的に日系の企業は日本水準の給料なので、カナダの企業よりも給料は低く、働く時間長く、休みも少ない、福利厚生も良くないです。

特別なスキルが無い元サラリーマンが、カナダで永住権後取得後に生活していく為の重要なポイント
1、とにかく英語力を付ける(これが基本中の基本です。)
2、公立カレッジなどに通い手に職をつける(ビジネス等のプログラムなど手に職を見せづらいプログラムはなるべく避ける)
3、日系ではなくカナディアン企業で働く

いくら凄い経歴やスキルがあっても、仕事の指示が理解できるぐらいのコミュニケーション力(英語力)がないと、当然ながら雇ってもらえないです。私の知り合いでIT会社で働いている方がいるのですが、「英語でコミュニケーションがカナダ人並みにできないと、ほんとに舐められますからね…私いまだにクライアントミーティングに参加させてもらえません…プレイヤー止まりにはなりたくないけど、もっと英語コミュニケーション力アップさせないと、、」と言われてました。
上に上がって行くためには英語力が必要になってくるわけです。

英語力がある位程度ついたら、公立カレッジなどで手に職を付けるのが良いと思います。
例えば、日本で早稲田や慶応卒業ですと言ってもカナダ企業の方はどんな大学か知らないわけで、その学歴によるバイアス効果ゼロです。日本の有名大学を出ているよりも、地元の人が知っているカレッジなどを卒業して、英語が出来て、手の職がある方の方が強いのです。
さらに、公立のカレッジを卒業すると最大3年間のポストグラデゥエートワークパーミットを取得出来るので、その期間を利用して永住権に繋げる方が多いです。
カレッジで受講するプログラムは、ビジネス系のプログラムは避けるのが良いと思います。
ビジネス系のプログラムはホスピタリティープログラムなどと同じで汎用性が高いので、仕事の幅が広く見つけやすく永住権に繋げるステップとしては良いと思います。ただ、日本で言う「経済学部出てきましたって!」って感じで専門性やスキルを見せづらく、そうなるとライバルも多いのでネイティブと並んだ時に負けてしまう事があります。
なのでビジネス系を卒業している方は、日系や日本に関わる企業についている方が多いように思います。
そうなると就職先が狭まるのと、給料が比較的安くなってしまうので永住権取得後の生活は苦労するかもです。

最後に、一概にカナダの会社の方が給料が良いとは言えませんが、全体的に日本の会社よりも給料が良く、待遇も良いです。
日系企業は小規模な会社が多く、日本の賃金基準やワークスタイルが抜けきれていないので、カナダで暮らして行く為に必要な十分な賃金がもらえない場合が多いです。休みも取りづらいですよ。

長々書きましたが、せっかく好きなカナダで生活して行くのであれば、生活に余裕を持って暮らしたいですよね。
カナダ永住権を目指す際には後の生活も見越してプランを立てて行くのが良いかと思います。
参考になれば幸いです。
それではまた!